あなたの期待に沿えますか?

ぴー

2015年10月27日 11:55

「目を閉じてばかりいないで目を開けなさい。私たちがヤマの魅力と楽しさを教えてあげるわ」
ある日、女神のような山ガールから優しいお言葉でお誘いをいただいた。私も “とある期待” を掛けられていたため、お言葉に甘えさせていただくことに。





紅葉で色付いた美しい景観の中、程よい距離を歩く適度な疲労感と頂きに立つ達成感を。そして、美味しい食事で至福のひとときを味わう。さらに、新しい友だちとも仲良くなれる。そんな幸福な時間を過ごすことが予定されていた。


しかし娘は、これまで見たことがないほどの確固たる決意で「もう絶対にヤマには登らない」と涙を流しながら訴えた。


天気予報は「くもり」であった。
下界は晴れていた。
僕はヤマで降られたことがなかった。
でも、ヤマは雨だった。
時間が経つにつれ激しく降った。
娘だけでなく嫁の心も折った。
油断していた。






下山後、土砂降りの駐車場で「このままキャンプしないで温泉入って帰りたい」娘と嫁から懇願された。歯をガチガチと震わせ紫色に変色した唇の娘をみていると、やむを得ないかとも思う。久しぶりに目を閉じようかと思ったが、とりあえずは温泉で暖をとることで同意を得る。クルマを走らせ標高を下げていくと、みるみると晴れ間が広がっていく。空を見上げれば、雲ひとつない青空だ。現実は常に無情である。



温泉に入ると娘は元気を取り戻し、女神たちと昼食をとる。すると、これまで人見知りをしていた娘が徐々に打ち解けていく。これでキャンプも行けそうだ。
が、いつも以上に黒子に徹する必要があることは容易に想像がつく。女神のみなさんには申し訳ないと思いつつ、娘と嫁へ配慮する。黙々と設営し、終わったら料理、片付け・・・。撤収までのおおよそすべてを請け負った。
おかげで娘はとても楽しく過ごせたようである。問えば必ず「ヤマ登りは絶対イヤだけど」という前置きを入れて「キャンプは楽しかった」と応えてくれる。





一歩前進。





と言いたいところだが、風邪をぶり返した嫁の心は折れたままだ。さて、どうしたものか・・・。



ところで、こちらの方もどうしたものか。






どうやら、あなたの期待には応えられそうもない。




※この物語は事実にもとづいておりますが、一部フィクションとなっております。
ao.家のみなさま、こんなふざけたレポとなってしまい申し訳ございません。これに懲りず、またご一緒させてください。
※写真ありがとうございました。


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